内視鏡下手術が日本に導入されてから、その進歩・普及率はめざましいものがあり、胆道系の良性疾患をはじめとして、胃・腸・脾・肝・鼡径ヘルニアなど、一般消化器外科医が担当する疾患に対して、近年、同手術が積極的に行われるようになっています。
食道疾患についても、胃食道逆流症や食道アカラシアなどに対する腹腔鏡下手術や、食道粘膜下腫瘍や食道憩室などに対する胸腔鏡下手術も普及してきました。
さらには食道癌に対する胸腔鏡下食道切除郭清術や腹腔鏡下胃管作製術など、この分野も日進月歩の領域です。一方で食道は後縦隔を貫く消化管ですが取り扱いを誤ると致命的な結果を招くという臓器でもあります。したがって食道疾患に対する内視鏡下手術は、食道手術と内視鏡下手術の両者に習熟した外科医が担当するべき難易度の高い手術と考えられます。
そこで、食道疾患に対する手術を安全・確実に行えるよう、多様な症例を持ち寄り、手術手技を中心に議論する場として設けられたのが『食道内視鏡外科研究会』です。
研究会では、多くの先生方に各自の手術手技のご講演をしていただいております。
今度は議論の場から手術台へと場所を変え、実技トレーニングを行うための場として、また、平成16年より開始した日本内視鏡外科学会技術認定制度も考慮して、講習会も別途開催することとなりました。実際には、 動物を用いて、腹腔鏡下Nissen手術・腹腔鏡下胃管作製術・胸腔鏡下食道切除術・胃管再建・吻合を講義を交えながら行っています。